苔玉作りは簡単?管理方法や育て方、寿命はどのくらい?
小さくてコロンとした丸い形の苔玉(こけだま)は、季節感のある器や受け皿に置いたり、上から吊るして目線の先に飾ります。盆栽用の花木、山野草や観葉植物と丸めた土に苔を張り付けたものを、葉・形・色を鑑賞して楽しみます。アレンジ次第で、和・洋・アジアンテイストなどがらりとイメージが変わるのが苔玉の魅力でもあります。簡単に苔玉を作る方法を紹介します。
苔玉の起源は盆栽
盆栽の起源は中国で「盆景」と呼ばれており、約2千年以上の歴史をもつ文化です。日本には平安時代から鎌倉時代頃に渡来したようで、樹木や草花を石付けした盆栽は、日本の神社・仏閣の景色と通じ、現在では芸術的評価も高く、海外でも認知度は上がり、人気のものとなっています。
苔玉(こけだま)を初めて世に送り出した第一人者は「海地 勲」さん(Isao Umiji)(高知県出身)といわれ 2002年以前より苔玉を作成しており、苔盆栽では30年以上の熟練者といわれています。盆栽で用いられる「根洗い」という手法を応用して、盆栽をより身近に楽しめるように製作したのが苔玉のはじまりです。
苔玉(こけだま)は、美しい形状のためギフトやプレゼント利用も多くなってきました。近年、日本全国愛好家も増えています。
松の盆栽
苔玉作りは簡単?
簡単に苔玉(こけだま)を作る方法は、乾燥した水苔(みずごけ)を使うタイプ
手軽に作れる 乾燥水苔(みずごけ)は輸入品
植え付ける植物と苔の相性(日当たり・水やり)、を考えたりせず、管理が楽なため長く楽しめます。水苔(みずごけ)に植え付ける植物のオススメは、シダ植物やランなどの着生植物や観葉植物です。
シダ植物のおすすめ
- ビカクシダ(コウモリラン)
- トキワシノブ
トキワシノブの苔玉 水苔(みずごけ)で仕立てています。 (左:吊るすタイプ)(右:置くタイプ)
観葉植物のおすすめ
- アイビー
- シュガーバイン
- テーブルヤシ
- ガジュマル
- ポトス
アイビーの苔玉 耐陰性があるため室内でも飾れる
材料
- 乾燥水苔
- 木綿の黒糸(手縫い糸)または6号テグス(釣り糸)
- 植物
- 肥料(マグアンプK)
- バケツ
- ハサミ
作り方手順
- バケツに水を張り、乾燥水苔を1時間くらい浸してから、雑巾を軽く絞るように水苔を絞った後、軽くほぐす。
- 水苔を手のひらの大きさに厚さ1㎝の厚さに広げる。苔の中心部に肥料(マグアンプK)2~3粒をのせます。
- 植物をポットの外から土の部分をもみほぐしバケツに溜めた水でやさく根の周りの土を落とす。(根洗い)
- 植物に1㎝の厚にした水苔を巻き付ける。丸くなるように2重に巻き付ける。
- 木綿の黒糸を使い水苔の形を整えながら徐々に絞りながら、手まりを巻くよう巻きつけます。
- 飛び出した水苔をはさみで切って丸く整えます。
- きれいな水に入れ替えたバケツに5分くらい浸した後、水切りして完成です。
本格的な苔玉(こけだま)を作る方法は、ケト土使うタイプ
盆栽から派生した苔玉は、盆栽に使う松や南天、紅葉、山野草を中心の植物に選びます。盆栽の楽しみとして鉢上げした植物の根をあらい根の形状を見て楽しむという文化があり、鉢の中に根を隙間なく張らせ、鉢なしでも崩れないようにする手法です。水はけが悪い粘土質のケト土を使用して、丸いかたちを成形します。通気性・通水性がよくないため、コケや植物がうまく育たないという難点があるため、植物が根腐れを起こしやすかったり、苔がうまく育たないという難点もあります。
ケト土とは?
葦、マコモ、水性の苔など水辺植物が水底に長期にわたって堆積し泥炭化した粘土状の土です。腐植が進んでいるので色は黒く、粘土のように粘性があります。繊維がまだ残っており保水力に優れます。乾燥すると硬く固まります。栽の石付やコケ玉づくりなどの接着剤として使います。山野草や盆栽の石付け、苔玉作りに最適のケト土です。通気性はなく、園芸用土として単用はできません。
ケト土はネットや園芸店で販売されている
植物のおすすめ
- 松
- 南天
- 紅葉
- 山野草
- すみれ
菫(すみれ)大工道具の”墨入れ”に似ているのが名前の由来
材料
- 生苔(扱いやすい這苔、砂苔など) 苔は、家の周りで採取したものを利用するのもいいでしょう。家のベランダで採取した苔で苔玉にすると環境に順応しているため枯れにくいです。
- 木綿の黒糸(手縫い糸)または6号テグス(釣り糸)
- 植物
- ケト土
- 山野草の土
- バケツ
- ハサミ
作り方手順
- 植物をポットの外から土の部分をもみほぐしバケツに溜めた水でやさく根の周りの土を落とす。(根洗い)
- ケト土7:赤玉土3の割合で混ぜ十分に練り合わせ球状に丸めます。
- 山野草を植え込むため、丸めたケト土をお椀状にする。お椀の中に「山野草の土」を入れる。
- 植物を植え込んだ後にお椀の状のケト土を閉じる。
- 周囲に苔を貼り付ける。
- 木綿の黒糸を使い苔を固定するため、手まりを巻くよう巻きつけます。
- 飛び出した苔をはさみで切って丸く整えます。
- きれいな水に入れ替えたバケツに5分くらい浸した後、水切りして完成です。
苔玉の管理方法や育て方
苔玉栽培で重要なのは、水やりです。苔には水をたくさん与えないといけないのでは?と考え水のやりすぎてしまい植物が根ぐされして枯れてしまったり、反対に、霧吹きで保湿していて、苔玉の中心まで給水できずカラカラになって乾燥により枯れてしまうこともあります。また、日陰がいいと思い暗い室内に長く置きすぎて元気がなくなくなったりしてしまうこともあります。植物は光合成により成長します。直射日光が当たらない明るい場所に置き、乾燥したら水を与える。皿に水をためておかないようにしましょう。
水やり
水やりの目安は、苔が乾いていると感じた時、苔玉を持ち上げて確認します。水を与えたばかりの時よりも軽くなっていると、水のやりのタイミングです。
「乾く」の目安は… 苔玉を触ってみてくださいね。
バケツに水を張り、苔玉の部分を水につけます。 乾いた苔玉からは水が浸みこむと泡がでくるので、 泡が出なくなるまで5~15分つけます。つけ終わったら水切きりします。皿に水がたまった状態にすると苔が腐ったり、植物が根退れをおこして枯れてしまう原因となります。
苔玉の水やり:バケツの水に浸して、泡が出ている状態。泡が出なくなったら水やり完了となります。 (トキワシノブの苔玉仕立 吊るすタイプ)
※苔玉の大きさや気温や風通しなど置いている場所の環境によっても水やり頻度は変化します。
置き場所
中心の植物が日当たりを好むか日陰を好むかで、屋内、屋外と置き場所が異なってきます。ベランダやお庭に直置きせず、棚などの上に置きます。
風通しを良くし、地熱の影響を受けにくい環境を整えます。
部屋に飾りたい場合は、2~3日なら室内で管理するのも可能です。その場合、無理に日当たりに置かず、風通し良いところに置いてください。
留守にするとき(特に夏場)締め切った部屋に置くと蒸れてしまいます。蒸れると根が傷み、枯れてしまいます 。2~3日部屋に飾ったら屋外にだして外の空気に触れさせましょう。
苔玉は室内でずっと育てることが難しのでしょうか?
室内で苔玉が枯れてしまう主な原因は 「蒸れ(むれ)」です。高温多湿で風通しが悪い場所に置くと苔玉は蒸れてしまいます。
また、カビが生えたり、植物の根が腐ってしまう(根ぐされ)こともあります。カビ菌の病気で、根ぐされは植物を枯らす致命的な原因になります。特にマンションなど現代の住宅は気密性が高く、人間には心地良い空間でも植物にとっては蒸し風呂のような環境となります。気温の高い夏場は特に気をつけましょう。
南天の苔玉
苔玉の寿命はどのくらい?
苔玉の寿命はだいたい2~3年と言われています。苔玉に植えた植物が根詰まりを起こします。根が表に出てきたり、植物と苔玉のバランスが悪くなってきたら、仕立てなおしましょう。
①解体して一回り大きな苔玉に作り直す
②解体して中の植物を取り出し、鉢植えにする
仕立て直しの手順
- 苔に巻き付いた糸を切り、まわりの苔をはがす
- 植物の根の状態を確かめ、傷んでいたらカットする
- 鉢へ植えつけたら水をやり、通常の管理を行う
まとめ
苔玉(こけだま)は、こまめに様子を見て水やり頻度を調整しながら育ててください。お好みの植物を使って、自分だけの苔玉を作って楽しめます。また、管理の方法に気をつけることで長く楽しんでください。
サムネールの苔玉について
ガジュマルとスナゴケ
「雅子の庭」ブログのサムネーム写真は、すべて自作後に撮影しています。
あたたかい環境で育つガジュマルは、幸福の木とよばれ人の心をあたたかくしてくれる神秘的な植物とても人気の観葉植物です。苔玉に仕立てたのは、葉が展開してくる3月。初めて作ったガジュマル苔玉は、場所をとらずミニサイズで手軽飾れるため管理もしやすいです。生育状況を順次、経過報告しますのでブログ見に来てくださいね。ご意見も聞かせていただけたら嬉しいです。ご質問・お問い合わせがございましたら、ページの下部にある「コメントを残す」に入力お待ちしています。できるだけ返答しますのでよろしくお願いいたします。